Sphere System Consulting ltd. スフィアシステムコンサルティング株式会社

Vol.130 システムの現行踏襲は失敗の始まり?

 コラム

システムの現行踏襲は失敗の始まり?

 

システム構築の場では「この機能は現行踏襲で構築する」というフレーズをよく聞きます。現行踏襲、つまり今と同じ機能を新システムに実装したい、ということなのですが、実は簡単なことではありません。今回は現行踏襲に潜む落とし穴について考えてみます。

 

今あるシステムと同じ機能で新システムを創るとは、効率的で負担のかからないシステム構築方法であるかのように思われがちですが、実際は全く逆で、対応を誤るとトラブルの元凶となります。

 

現行と同じシステムを創るということは、大前提として現行システムの仕様を理解できていなければなりません。

 

ところが、現行踏襲でシステム構築をしようとする多くの場面で、現行システムの仕様が理解できておらず、とりあえず今と同じものを用意してよという丸投げが行われています。

現行システムの仕様が分らず、ブラックボックス化してしまう原因は別にあるにせよ、同じものを作れという丸投げを正当化する理由にはなりません。

 

現行システムの仕様を把握することは、想像以上に困難な仕事です。
誰がシステムの解析を請負うのかに関係なく、容易にできると甘い見通しをして失敗しやすいのです。

 

現行システムのプログラムソースがあればその内容を解析することが出来ますが、解析作業を請負うITベンダーですら骨の折れる作業です。
プログラムソースの自動変換ツールなど便利なツールを使うこともできますが、利用したとしても最終的には人の判断が必要になります。

現行システムの仕様の掘り起しで一番問題なのは、なぜこのような仕様になっているのか?の疑問に対し誰も回答を持ちえない状況になり判断不能になることです。
その機能がいるかいらないかの判断がつかなければ、少なからずプロジェクトは停滞します。僅かな停滞が積もり積もって進捗を遅らせ、スケジュールがずれ込んでしまいます。

 

安易に現行踏襲のシステムを創ろうとして、その結果、現行システムの仕様を確認したいが誰も判断できずプロジェクトの遅れの原因となる、このような事態になってしまいます。

 

現行システムの仕様を理解していたとしても、システム構築にはまだまだ他に課題が山積みです。しかし、安易に現行踏襲のシステム構築を丸投げしては、システム構築作業を楽にするのではなく、逆に停滞を招いてしまうのです。

 

現行踏襲のシステム構築は必要作業の簡略化にはなりません。しっかりと現行システムの仕様を理解し、実装するしないの判断を発注側ができなければいけません。

 

システムの発注側は安易に現行踏襲という言葉に逃げてはダメです。
現行踏襲はシステム構築の近道ではないことを理解しておく必要があります。