Sphere System Consulting ltd. スフィアシステムコンサルティング株式会社

Vol.124 ITのアウトソーシングを問う

 コラム

ITのアウトソーシングを問う

 

これまでITプロジェクトを取り巻く環境とIT業界の現状や、なぜITプロジェクトは失敗してデスマーチと呼ばれる不毛な状況になるのかを様々な観点から論じてきました。間違いなく言えるのは、結局のところ、戦略のミスは戦術ではカバーできないのが真実なのです。極端な話ですが、ITプロジェクトの戦略を決めた時点で成功の可能性が残るかどうかが決まってしまうものです。

 

ITプロジェクトの発注側の決断は、当人が望む望まないに関係なく、戦略に影響を与えます。上流工程や上位概念の決定が下位の戦術を決定付けるため、盛んに上流工程や超上流工程の重要性が問われています。

 

しかし、発注側とITベンダーに分かれる日本のITプロジェクトは、上流工程や超上流工程の重要性が分っていたとしても上手く対応ができません。

どれだけプロジェクトマネジメントを頑張ったとしても、戦術レベルのマネジメントであれば上位概念である戦略をひっくり返すのは至難の業です。

 

ITベンダーは発注側企業の内情にまで口出しはできないし、発注側企業はITプロジェクトそのものをITベンダーが何とかしてくれるものと思い込んでいます。

 

このような現状を踏まえ、発注側とITベンダーに分かれるITプロジェクトにおいて、発注側がITベンダーをマネジメントすることが成功のカギとなります。

 

ITベンダーにシステム開発を依頼するという事は、言い換えれば発注側がシステム開発をアウトソーシングするということなので、ITのアウトソーシングについて基本的な事を知っておく必要があります。

 

ITにおけるアウトソーシングは、例えば、ホームページの運営を外注するなどがありますが、ITプロジェクト内で起こるアウトソーシングは、通常とは違う特別なものとして考える必要があります。

 

アウトソーシングの基本は、単純に仕事を外注するだけではありません。外注する仕事は、決まった手順があることが前提で、単純な定型業務であればあるほど効果を発揮します。
社内ITのアウトソーシングは上記の前提が守られないことが多く、「自社出来ないことを相手に丸投げ」の傾向にあります。通常業務のアウトソーシングは上手くいくのに、IT関係のアウトソーシングが上手くいかないのは上記のような違いがあるためです。

 

自社出来ないことを相手に丸投げ」は、自社の弱点を見て見ぬふりをしているにすぎません。見て見ぬふりをした結果、自社にノウハウが蓄積されず目に見えない資産を失うことになったり、該当する業務担当が何らかの理由でいなくなると窮地に陥るようなボトルネックを作ることになります。

 

一番の問題は、見て見ぬふりをしているが故、問題が起きていることに気付かないことです。静かにじわじわと気付かずに弱っていく、そんな状況になってしまいます。

 

先に述べたように、外注する仕事は発注側のマネジメント下になければなりません。
しかし、発注側は「IT音痴」を理由にマネジメントを放棄してしまうので上手くいかなくなります。

 

経営にITが直結する時代に、「IT音痴」を自称しても何一つ良い事はありません。
IT音痴の経営者はいずれ淘汰される時代になりますが、それまで待っていては現場が疲弊してしまいます。今のうちに手を打っておくことでIT利活用の優位性を築くことができるはずです。