Sphere System Consulting ltd. スフィアシステムコンサルティング株式会社

Vol.123 ITプロジェクト本来の形とは?

 コラム

ITプロジェクト本来の形とは?

 

ITプロジェクトに限らずすべてのプロジェクトに集うメンバーは、共通の大きな目標を達成するために集まった集団です。日本のITプロジェクトにおける特徴のひとつは、メンバーを構成するのが発注側企業とITベンダー企業などの異なる2社以上の組織で構成される点にあります。これは、ほとんどの企業をIT技術者を自社で抱えておらず、システムを構築しようとすれば、おのずとITベンダー企業へ開発を発注するためです。

 

一方、アメリカ企業のシステム開発は、自社でIT技術者を雇い、自分たちでシステムを開発します。

自分でシステムを開発するアメリカ企業と自分でシステムを開発しない日本企業。この違いの根底にあるのは雇用形態の違いです。

 

終身雇用が前提の日本企業では、IT導入のときだけ一時的にIT技術者を雇うことができません。開発終了後に仕事が無くなったIT技術者を解雇することができないからです。

日本でシステム開発を自分たちで行う企業は、自社の事業がITと直結しており、自社のIT技術者がシステム開発を継続して行う企業に限定されています。

 

ほとんどの日本のITプロジェクトは、
「本来はひとつの物を、やむを得ない事情により発注側と受注側の2つに分けている。」
という状況です。

 

ところが、ITプロジェクト本来の形はほとんど議論にはなりません。先に述べたような日本企業とアメリカ企業の違いがプロジェクトマネジメントにどのような影響を与えるかの議論もありません。発注側と受注側が分れて存在することが当たり前となり、誰もそもそもの成り立ちに疑問を持たなくなっています。

 

このようなITプロジェクトの背景を踏まえると、構造面からの課題も浮き彫りとなります。

 

本来のITプロジェクトの形と違うのならば、違いに合わせるようにプロジェクトをマネジメントする必要があります。システム開発をITベンダー企業に発注するならば、丸投げではなく発注者としての責任を果たさねばなりません。プロジェクトが本来の形とかけ離れ、それに気づかなければ失敗するのは当然の事です。

 

ITプロジェクトの本来の形を考慮すれば、

「ITベンダーに開発を依頼するなら発注側がきちんとマネジメントをすること。」
「ITプロジェクトをマネジメントする技量が足りなければ、出来るだけ開発をしない方針でITを導入すること。」
必然的にこのような方針となるはずです。

 

今あるIT業界と業界を取り巻く環境は「当たり前」ではないし「常識」ではありません。ITプロジェクトの高難易度化により「当たり前」や「常識」が覆されようとしています。

 

本来同じ目的を持つはずの発注側企業とITベンダーが、本来やらなくていい揉め事を起こしプロジェクトを停滞させるなど愚の骨頂です。ITプロジェクトの本来の形を考慮し、原点に立ち返る必要があります。