Sphere System Consulting ltd. スフィアシステムコンサルティング株式会社

Vol.120 ITプロジェクトはコミュニケーションパスを意識する

 コラム

ITプロジェクトはコミュニケーションパスを意識する

 

ITプロジェクトが上手くいかない原因は「コミュニケーション不足」だと結論付けられるケースは多々あります。大抵の上手くいかないITプロジェクトは雰囲気も良くありませんし、コミュニケーション不足の状況は確かにその通りと言えます。

 

しかし、「コミュニケーション不足」という言葉は、聞く者を思考停止に陥らせるマジックワードでもあります。具体的に何がコミュニケーション不足なのかの言葉が続かなければ、最もらしいが差し障りのない表現となってしまいます。

 

具体的なコミュニケーションを考える一つの切り口として、「コミュニケーションパス」について考えてみます。

 

コミュニケーションパスとは人と人の間にあるコミュニケーションの通り道のことです。
1対1の2人であれば1本のコミュニケーションパスとなり、3人であれば3本のコミュニケーションパスとなり、人数が増えるほどパスの数が増えていきます。100人の組織となると、コミュニケーションパスは4950本にまで増えます。

 

コミュニケーションパスは1対1のコミュニケーションを全体の人数分でカウントするので、このように人数が増えれば右肩上がりでパスの本数が増えます。

大勢の人数が関わるプロジェクト活動においては、これでは情報のやりとりが効率的ではないため、組織を分担してリーダーを決めて情報の流れをまとめる仕組みが必要となるわけです。

 

多くの組織で見られる、上司と部下、リーダーとフォロワー(メンバー)といった構成は上下の構造を持つツリー型の組織形態です。こうした組織形態をとることでコミュニケーションパスは減り、最適化を図る事ができます。

 

組織の構造化はコミュニケーションパスの最適化も担っているわけですから、コミュニケーションが滞ることが無いように注意が必要です。担当分けされたグループのリーダーは、情報が滞ることのないようにすることも大事な役割ということになります。

 

単純に考えて大規模プロジェクトが難しい理由は、コミュニケーションパスの増大により合意形成のための工数が劇的に増えるためです。それほど大規模なプロジェクトでなくても、合意形成のための工夫は大切であり、難しい仕事のひとつです。

 

プロジェクトにおける情報共有や合意形成には、「会議を行う」「メールで共有する」などの施策が採られますが、程度を超えると、無駄な会議が増えたり、何でもCCに入れて送信し消化しきれない膨大なメールのやり取りが行われたりといった弊害も生まれます。

 

コミュニケーションパスを減らす仕組みは、減らしすぎてしまうデメリットとも背中合わせです。減らしすぎたコミュニケーションパスを元に戻そうとしても、どの程度が適当なのか試行錯誤が必要です。常に程よく適切な情報量が流れるように、プロジェクト内のチェックが必要です。

 

上手くいかないITプロジェクトの根底にあるのは「丸投げ」の意識です。
担当者を決めて割り振ってしまえばそれで終わり、あとはメーリングリストで情報を流すから勝手にやってくれ、そんな「丸投げ意識」が失敗を招きます。

 

担当を決めればそこで仕事が終わりではありません。コミュニケーションパスの存在を意識し、プロジェクト内を流れる情報に問題が無いかをチェックしなければ、「コミュニケーション不足によるプロジェクトの失敗」と言う結果が待ち受けることになります。

 

担当に丸投げではなく、組織の根底にあるコミュニケーションパスの存在を意識してプロジェクトを運営しましょう。