Sphere System Consulting ltd. スフィアシステムコンサルティング株式会社

Vol.119 ITプロジェクト発注側の仕事は「決める」こと

 コラム

ITプロジェクト発注側の仕事は「決める」こと

 

ITプロジェクトの発注側は様々なことを「決める」立場にあります。発注側の仕事をひと言で言い表すならば、決めることであると言っても良いでしょう。ITプロジェクトの上流工程では、ITベンダーは発注者の決定に対する補助的な情報を提供したりして発注側を手助けする立場にあります。ITベンダーが決めるべきことは実は何もありません。

 

発注側が「決める」ことを放棄すれば、責任の所在が分からなくなりプロジェクトは迷走します。ITベンダーに丸投げすることは、決めることの放棄であり、すなわちITプロジェクトの失敗を意味します。

 

物事を決めるには判断基準が必要です。そして、感覚で判断するのではなく、判断に至る理由が必要となります。

 

ひと言に判断基準と言っても、いくつかの見解があります。
・自身の経験則からくる判断基準
・所属する部門から見た判断基準
・経営戦略の立場から見た判断基準
など、様々な見方ができます。

 

例えば、入力画面の設計一つでも「決める」には様々な要素があります。熟練の担当者から見れば、自分のクセや慣れから画面設計を決めてしまうこともできますし、新人など慣れない担当者からも分りやすくしたいという方針があるのであれば、より汎用性の高い画面設計にすることもできます。つまり、誰がどんな視点から決めるのかがシステムを構築する上で重要な要素となります。

 

誰のどんな視点から決定に至ったかを情報開示できれば、前向きな議題が提供でき、より良くするための話し合いもしやすくなります。決定の理由が見えないプロジェクトは風通しの悪いプロジェクトであり、良いものではありません。

 

仕様を決めるであったり、開発の範囲を決めるであったり、発注側が決めることは最終的にどのような判断だったとしても理由が説明できれば何の問題もありません。

 

上手くいかないITプロジェクトは、理由が分らない決定が多く、結果として混乱を招いてしまいます。ITプロジェクトは規模が大きくなればなるほど分業の色合いが強くなり、お互いが連携しなければ整合性が取れなくなります。そのため、ひとつの仕様の決定が他の機能にも大きく影響することを覚えておかねばなりません。

 

ある一つの機能における決定事項は、他の機能では矛盾していないかチェックが必要です。発注側の担当者が「決める」仕事が出来ていたとしても、複数の担当分けをしていれば、それぞれ単体の決定が正しいとも限りません。そのため、より広い視野と高い視点を持ったチェックが必要になります。その役目はプロジェクトの責任者が担当します。

 

発注者は決めることが仕事だからと言って、担当を割り当てるだけで丸投げにしてはダメなのです。

 

何よりもまずITベンダーへの丸投げ体質から抜け出す必要がありますが、発注側に「決める」意思があっても、決定権を持つ担当者に丸投げしていては元も子もないのです。

丸投げによる責任者不在の状況を作ってはいけません。