Sphere System Consulting ltd. スフィアシステムコンサルティング株式会社

Vol.117 IT部門の異動を考慮する

 コラム

IT部門の異動を考慮する

 

前回は強いIT部門について述べたのですが、IT部門に関わる人材が重要なのは言うまでもありません。所属する組織によって様々ではありますが、IT部門に在籍する人たちは、人事異動によって新たに配属されたり別の部門へ移ったり、流動的に動くケースが多いものです。

 

人事異動の方針は所属する組織によって方針が異なるのは当然の事ですが、IT部門における人事異動は、現在進行中のプロジェクトによっては大きな問題となる場合があります。

 

とある担当者が長期のプロジェクトの途中でIT部門を外れたことで後任者との引継ぎが上手くいかずトラブルになるケースはよくあります。特に、官公庁のシステム担当者などは最初から任期が決まっており、長期にわたるプロジェクトは当初の担当者不在が一因となって迷走してしまいます。

 

パソコンのお守をやっているだけ、ITベンダーに丸投げしているだけ、というIT部門ならば
担当者が次々変わっても大した問題にはなりませんが、そうもいきません。システムの導入企画や古い仕組みの刷新など、ITプロジェクトとしての仕事がある以上、IT部門の担当者の在任期間は、見落としがちですが考慮すべき課題となります。

 

ITプロジェクトを考慮すれば、IT部門担当者はプロジェクト終了まで異動をしないことが望まれます。実際は、ITプロジェクト成功の位置付けが低いのか、やむを得ない他の事情があるのか、この原則が守られないケースが非常に多いのです。

 

官公庁などお役所仕事の色合いが濃い組織で、最初から人事異動が分っているのであれば
在任期間までに完結するプロジェクトに収めれば良いだけの話です。
もしも在任期間に収まらない大規模なプロジェクトの構想があったとしても、収まる範囲のプロジェクトに分割して引き継ぎながら完了させれば良いでしょう。つまり、計画が重要になるというわけです。

 

プロジェクト期間中の引継ぎは大変困難な仕事だということを理解しておく必要があります。もしもプロジェクト期間中に担当者の変更などで引き継ぎ作業が発生するならば、形式的な引継ぎだけでは足りません。

 

何のためになぜやるか?といった目的をしっかり引き継ぎ、目的達成の為の優先順位付けなどのプロジェクトの根幹を成す基本情報の共有ができなければならないし、その上で、現場の実務といった具体的な作業内容の引継ぎが必要となります。
本来は、重要なことは繰り返し説明したりして、引継ぎには時間が掛かるものですが、現場の実務といった簡単な引継ぎしかできないために「ボタンの掛け違い」を生む事になります。

 

引継ぎは極力発生させるべきではありません。
担当者の交代による引継ぎを例に挙げましたが、プロジェクトの人員追加による引継ぎの発生も同様です。プロジェクトは人数を増やせば仕事がまわるようになるほど単純なものではありません。作業量が増えてきたから後からメンバーを増やすのではダメなのですが、プロジェクトマネジメントに精通していない発注側企業がやってしまいがちな間違いでもあります。メンバーが増えることによる引継ぎは軽視できない作業なのです。

 

ITプロジェクトには経営者の支援活動が必要ですが、人事異動を待つことも立派な支援活動のひとつです。発注側企業は、そのITプロジェクトが重要であるならば、プロジェクト期間とIT部門担当者の任期について見落とすことなく考慮しておく必要があります。