Sphere System Consulting ltd. スフィアシステムコンサルティング株式会社

Vol.115 誰がITの丸投げ体質を造ったのか?

 コラム

誰がITの丸投げ体質を造ったのか?

 

IT業界は「スピードの速さ」が特徴です。ITの誕生から歴史が浅いのに、技術はどんどん進歩し、目まぐるしく状況が変わっていきます。そのため、変化のスピードについていけず仕組みが追いつかないために生じる問題も少なからずあります。

 

ITに限らずどんな業界にも慣習がありますが、それは時代と共に変容を求められる物です。
IT業界の変化のスピードが速いということは、それだけ素早い変容が求められることを意味しています。

 

そして、IT業界の変化の速さは、ITを利用する他の業種も引っ張られる形でスピードを加速させます。「きっかけはIT技術の進歩、それが様々な業界の古い慣習を壊し新しいビジネスモデルを構築する。」これが今現実で起きていることです。

 

新しいIT技術の利活用によって新しいビジネスモデルが生まれる反面、変わった方が良いのに変わらないものもあります。その代表格はITベンダー企業とその顧客である発注側企業の関係性です。

 

発注側企業がITベンダーに丸投げしてしまう危険性は再三述べてきていますが、なぜそうなってしまうのか?はIT業界の変容と無関係ではありません。

 

そもそも、発注側企業がITベンダーに丸投げするのは、ITベンダー企業自らがそのように仕向けた一面があります。ITがまだ特定の範囲でしか普及しておらず、他に扱える者がいないという意味での専門性を保てていた時代に、ITベンダーが「すべて我々にお任せください」という営業手法を採ったわけです。

 

ITベンダー企業にとっても、ITに詳しくない顧客というのは「アンダーコントロール」の時代でした。ところが、現在は状況が違います。

 

ITは広く普及し、ネットで様々な情報が普通に手に入ります。ITは、もはや全てが高い専門性を持った技術ではありません。ITに対し自分で考えて動ける利用者がおり、開発を含む専門技術者との役割分担が必要となりました。

 

このように、ITベンダー企業が「アンダーコントロール」と言い切れる状況ではなくなり、変容が求められる状況になりました。

 

ITベンダーから見れば顧客である発注側企業も、ITの普及により知識を仕入れることが可能なため、ITベンダーに騙されないか自分で考えるようになります。そして、こちらがコントロールされるよりは、相手をコントロールしてやろうという発想となりお互いが主導権を取り合うコントロール合戦になってしまうのです。

前向きな主導権争いならまだマシですが、実際は相手に無理難題を押し付けたり、無料で出来るだけ何でも得ようとしたりして、残念な争いとなってしまっています。

 

本来はこのような状況を造りだしたITベンダー側にとって顧客との関係性の見直しは必要なのですが、上手くいきません。というのも、従来のやり方でビジネスモデルを築き、今まさにこのやり方で利益を得ているからです。ITベンダーの現場担当者はともかく、ITベンダーの上層部は今得ている利益を手放せません。

 

とはいえ、古い慣習も見直しの時期がもうすぐそこまで来ています。
無駄な長時間労働の根源となる失敗プロジェクトは無くさなければならないし、ITベンダーにとっても採算の取れない赤字プロジェクトは無くしたいのです。

 

様々な悪影響を及ぼす歪みの元凶にテコ入れが入るのは時間の問題と言えます。そうなると、発注側もITベンダーに無理難題を要求できる立場ではなくなります。今まで通りのITベンダーに対する接し方ではなくなりますから、正しい関係性を再構築する準備が必要です。