Sphere System Consulting ltd. スフィアシステムコンサルティング株式会社

Vol.114 本当に必要なのは「コントロール」か「マネジメント」か

 コラム

本当に必要なのは「コントロール」か「マネジメント」か

 

これまで多くのITプロジェクトを経験しましたが、システムを発注する企業側と受注側であるITベンダー企業との「埋められない溝」は確かに存在します。
ある時はITベンダー企業側として、またある時は発注企業側として、両方の立場からITプロジェクトに参加した経験があるからこそ、多面的な視点からITプロジェクトを視ることができました。そして、この経験が本当の意味でITプロジェクトの全容を知るに至ったのだと思えます。

 

発注側には発注側の理屈や考え方があっての行動があり、受注側には受注側の理屈や考え方があっての行動があります。

それは当たり前の事ですが、立場の違う両社の行動の違いがITプロジェクトの成果に大きな影響を及ぼします。

 

ITプロジェクトを発注側から見るのと受注側から見るのでは大きく様相が異なります。

発注側はITベンダーが何を考えているのか分らないし、受注側は発注側が何を考えているのか分っていません。自社と関係の薄い業界や業務を知らなくても当然であって、このことは問題ではありません。相手を知らないことが問題ではなく、相手を理解しようとしないことが問題です。

 

ITベンダーからすれば、顧客である発注側企業の業務を知ることは職務上必要です。発注側企業の業種業態を知ることでふさわしいシステムを提案し構築するので、相手を理解しようとすることは、すでにやっていると考えているかもしれません。

しかし、ここで言う相手を理解するとは、業務を知るという表面的な事ではありません。関係性そのものの見直しが必要なのです。

 

ITプロジェクトにおける発注側と受注側の関係性は、相手をコントロールすることが前提となっています。そもそもこの考えが間違いです。

 

発注側企業には「ベンダーコントロール」という言葉が存在し、受注側ITベンダー企業には「ユーザーコントロール」という言葉が存在します。

これらの言葉の存在が両社の「埋められない溝」を顕著に表す言葉だと言えます。

 

相手先企業との関係を表す言葉として適切なのは「コントロール」ではなく「マネジメント」です。コントロールは自分が優位に立ち相手を支配する前提です。協業相手にどちらが上に立つかのマウンティングは関係性を築く上で何の意味もありません。

 

本来は共に力を合わせて協業すべきパートナーであるはずが、いかに相手より優位に立つか、いかに相手に無償で力を貸してもらえるかだけを考えていては、プロジェクトが上手くいくはずがありません。

 

このように、そもそもの出発点となる発注側と受注側の関係性の構築を間違っていると、プロジェクトマネジメントも機能しません。

 

なぜなら、欧米から輸入された概念であるプロジェクトマネジメントは、日本型の雇用形態を前提に創られていません。欧米のITプロジェクトは発注側がITエンジニアを雇用し、自分たちでシステムを創る内製が前提です。そこには発注者と受注者の異なる組織のいざこざはありません。あるのは自社内のコミュニケーションの問題だけです。

 

多くの失敗プロジェクトは、プロジェクトマネジメントに本来は存在しない「発注者と受注者の異なる組織のいざこざ」を持ち込む事で失敗の原因を作っていることに気付いていません。

 

協業相手に対し、本当に必要なのは「コントロール」か「マネジメント」か良く考えてみてください。相手より優位に立とう、相手より得をしようと思うのなら、失敗の原因は自ら創りだしているのかもしれません。