Sphere System Consulting ltd. スフィアシステムコンサルティング株式会社

Vol.113 情報システムはガラパゴス化と標準化の取捨選択

 コラム

情報システムはガラパゴス化と標準化の取捨選択

 

携帯電話の用語として「ガラケー」と言う言葉が一般的になりました。その意味は「ガラパゴス携帯」の略語で、スマートフォンが登場する前の携帯電話のことを指し、日本の携帯電話が世界から隔離された状態で独自の進化をしたことに由来します。独自の進化を遂げたガラパゴス諸島の生物たちに例えた表現が「ガラケー」です。

 

こうした独自の進化のことを指す「ガラパゴス化」は、携帯電話のみならず様々な業界に存在します。「ガラパゴス化」による恩恵もあるのですが、ほとんどの場合、閉塞感やグローバル化に対応できないなどのマイナスの面が強調されています。

 

ITの世界においても「ガラパゴス化」は良い意味では用いません。
なぜなら、ITによる仕組みづくりは「標準化」がキモであるのに対し、「ガラパゴス化」は独自の手法ですから、システム化が目指すところの「標準化」とは真逆の概念であるからです。ここにシステム化を難しくしている原因があるのです。

 

私がITベンダー企業側の人間として様々な業種のIT導入プロジェクトに参画した時に気付いた事があります。

それは、どの業界の人たちも自分たちの業界は特殊だと思っている事です。

 

これまで様々な業種業界の基幹システムの構築プロジェクトに参画しましたが、システムの発注側企業の担当者は口をそろえてこう言います。
私たちの業界は特殊だからね」と。

同業他社と比べて特殊なのか、他の業種と比べて特殊なのか、発言の状況で意味は異なりますが、面白い事に、発注側の現場では自社の「ガラパゴス化」を認識しているということなのです。

 

そして、先の発言に続く言葉として、

「特殊な業界なんだから注意してシステムを構築してくれたまえ」が続きます。
ハッキリ名言はしなくても発言の意図はおよそ同じような状況です。

 

先ほど述べたようにシステム化によってもたらされる標準化は、ガラパゴス化の対極にある考え方ですから、特に気を付けなければなりません。また、システム構築はITベンダー企業に丸投げして済む問題でもありません。

 

システムを業務に合わせて創り込むことは、すなわち「ガラパゴス化」を進化させるシステムづくりです。そして、業務をパッケージソフトに合わせて運用すれば「標準化」を推進していることになります。

 

システム構築をどのような方向性で進めるかは、ITベンダー企業側が決めることではなく、
発注側企業の経営方針によります。自社の強みをシステムに反映させて具現化し、ガラパゴス化の恩恵を受けるのか、あるいは、ガラパゴス化による弊害を重視し、標準化に舵を切るのかの方針決めが必要です。

 

しかしながら、ガラパゴス化を追求することは困難な道のりであることは容易に分るはずです。大きな覚悟を持ってガラパゴス化を進化させる仕組みづくりを行うのかは経営による判断を必要とします。

 

あらゆる業界が自分たちの業界を特殊だと思っている現状は、見方を変えると、日本企業が自分たちで創意工夫して繁栄してきたことの裏付けでもあります。

 

情報システムはガラパゴス化と標準化の取捨選択です。
システム化という自分たちだけの創意工夫とは反対の概念と上手く折り合いを付けることが
トラブルを避けるカギだと言えます。