Sphere System Consulting ltd. スフィアシステムコンサルティング株式会社

Vol.112 システム開発しない選択肢を持つ

 コラム

システム開発しない選択肢を持つ

 

これまで当コラムでお話してきたITプロジェクトとは、システムの開発が発生していることを前提としています。具体的には、イチからシステムを創るスクラッチ開発やパッケージソフトをカスタマイズする開発を指しています。

 

しかし、IT導入プロジェクトには、開発を必要としないケースもあります。パッケージソフトなど提供されるソフトウェアをそのまま使えれば開発の必要はないわけです。

 

その場合、自社の業務に会ったソフトを選ぶか、自社の業務をソフトに合わせるかのどちらかで導入が可能です。当然ながら開発を必要としないIT導入の方が簡単ですから、なるべく手間をかけたくないのであれば開発なしのITプロジェクトを実践すべきです。

 

実際には、開発をせざるを得ない事情があって、開発を伴うITプロジェクトを実践するのですが、本来はシステム開発しないという選択肢もあるわけで、理由があって開発をする場合でも、開発範囲を最小限にとどめる努力もできるはずなのです。

 

情報システムは、一旦カスタマイズをすると、次期システムでもカスタマイズしなければいけない傾向にあります。

 

これはどういう事かと言うと、カスタマイズなしのパッケージソフトの場合は、すべての顧客に平等にアップデートという形で進化しますが、カスタマイズという自社向け独自開発が加わることによって、アップデートを待たずして自分たちだけの便利な機能を手に入れることができます。一度利便性を手に入れてしまうと、元に戻るのは難しいものです。よって、次期システムも利便性の維持のために再び開発をする傾向が強いのです。

 

もしくは、完全に自社業務に特化したスクラッチの基幹システムを利用中だから、時期システムもスクラッチでイチから開発せざるを得ないという場合もあります。

 

開発の伴うITプロジェクトは、開発のないITプロジェクトと比べて、難易度は飛躍的に上がります。

 

例えパッケージソフトからの簡易カスタマイズだとしても、開発が伴う事に変わりないため、想像以上に難易度が上がります。システムの発注側はこの事を理解しておく必要があります。

 

パッケージソフトを導入し、そこから簡易カスタマイズ開発を行うからIT導入は簡単であるという錯覚に陥りがちです。

 

ITベンダーが言う「パッケージからの簡易カスタマイズ」とは、非常に良くできた「心地よく聞こえる言い回し」です。
ほとんどの場合、良い面だけを説明し、背負うマイナス面に触れない営業トークです。どんなに些細なカスタマイズであっても、開発であることには変わりなく、開発である以上、発注側に発注責任が伴います。受注側であるITベンダーに丸投げにはできません。

 

それに、先ほど述べたようなカスタマイズの「中毒性」を考えると、今回導入するシステムだけでなく、将来を見越して少し先の構想まで考えてから結論を出すべきところを考慮していないことが問題です。

 

大局的に見て開発など必要ない事に、誰も「待った」を掛けられなくなります。

 

本当のところ、カスタマイズはITベンダー企業にとっては大事な収益源ですが、ITベンダー自身の首を絞める危険性を持っています。

システムの発注側である顧客の管理が煩雑になるだけでなく、目先の収益を重視した短期的な目線でしか考慮されていないからです。

 

ITベンダー企業にとって顧客である発注側企業がITリテラシーを向上させることは大きなメリットなのですが、長期的な視野を持たない提案を押し付けるだけでは発注側企業が成長できません。

 

発注側のITリテラシー向上と自立は、今後の必然の流れであるのに対し、旧態依然としたアプローチには限界があります。

発注側は、簡単な開発だからといって容易に受け入れるのではなく、システム開発しない選択肢を持つことを意識しましょう。