Sphere System Consulting ltd. スフィアシステムコンサルティング株式会社

Vol.108 発注側に必要な問題解決力

 コラム

発注側に必要な問題解決力

 

情報システムによる仕組みづくりの実現には、何のためになぜそれをやるのか?といった目的が必要です。その目的を実現する為のITプロジェクトをスタートさせる時、全容を表すグランドデザインが描けていることが重要となります。

 

IT導入の目的を深く掘り下げて考えたり、全体のグランドデザインを考えたりする際、必要なのは「問題解決力」です。

 

これまでの慣例では、問題解決力が必要なのはシステムづくりの要件定義や設計作業であり、ITベンダー企業に所属するITエンジニアに必要な能力と考えられていました。しかし、具体的にシステムづくりがスタートした後の問題解決能力は、限られた範囲での問題解決となります。システムづくりがスタートしてしまった以上、本当は他の方法論で解決すべきだったという結論には成り得ないからです。

 

ITエンジニアに求められる問題解決力は、システムづくりの方向性が目的達成の為に間違っていないことが前提となります。しかし、実際にトラブルを抱える多くのITプロジェクトでは、目的が曖昧であったり、途中で目的がズレてしまったり、ITエンジニアの問題解決力が発揮できない次元での問題が多く発生します。

 

こうした失敗ITプロジェクトは、発注側が問題解決力を発揮せず、ITプロジェクト開始前である最上流の工程を疎かにしています。

 

発注側に求められる問題解決力とは、ITプロジェクトが本格的にスタートする前に実現したい仕組みづくりの大枠を描くために活かされるべきです。

 

ITベンダー企業のITエンジニアだけが問題解決力を発揮すれば良いわけではありません。年々複雑になるITプロジェクトに対し従来通りのやり方を繰り返すだけでは通用しません。

 

情報システムの構築は、発注前に「在り方から計画を練る工程」が必要です。その際に現状の問題点を洗い出し、解決のための方法がシステム導入で問題ない事を明らかにしなければなりません。

 

自社の問題点を発見し、各部門を調整して意見をまとめ上げるには大変な作業となります。誰しもが自分を自分で客観的に見ることは難しく、会社組織であっても同様です。しかし、自社をしっかり顧みて向き合うことをしなければ正しいスタートは切れないのです。

 

これを難しいからといって放棄してしまうと、最初の段階で何らかの問題があることに気付けません。問題を抱え見過ごしたままプロジェクトを進めてしまうと良い結果は得られません。そもそも問題の定義が違っていたり、問題は明らかだが解決のステップを間違えたり、ITプロジェクトがスタートする前から失敗を決定づける要因を徹底的に排除する必要があります。

 

ITエンジニアに求められる問題解決力は、具体的にどうシステムを組み立てるか?に必要な問題解決力であり、システムの発注側に求められる問題解決力は、何を成し遂げたいのか、何のためになぜやるか?といったより大きな概念における問題解決力です。

 

これは、戦略と戦術の違いと表現した方が分りやすいかもしれません。
戦略の間違いは戦術ではカバーしきれません。戦略を曖昧にせずしっかり描くITプロジェクトが成功するITプロジェクトだと言えます。

 

問題解決力はITプロジェクトだから必要と言うわけではありません。
経営戦略など、戦略と名の付くものには必ずセットで問題解決力が必要です。発注側企業は、ITプロジェクトの枠にとらわれず問題解決力を養うべきです。