Sphere System Consulting ltd. スフィアシステムコンサルティング株式会社

Vol.100 ITリテラシー向上こそ緊急課題

 コラム

ITリテラシー向上こそ緊急課題

 

最近は子供のうちにプログラミングを学習させようという動きが活発です。IT化の時代だから意義のある事なのではないか?と思われがちですが、本質を見誤ると大変なことになる問題だと思います。

 

子供のうちからプログラミングを学習することは悪い事ではありませんが、何を目的としているか?がはっきりしなければなりません。

 

IT人材は不足していると言われています。ITを創る側の育成が目的ならば、指導者の調達や育成、カリキュラムの是非など付随する課題も見えてきます。しかし、プログラミング学習はITを創る側の育成だけが重要とも思えません。ITは創る側もいれば、利用する側もいます。大多数の人は利用する側であることを考えると、ITを利用する側のレベルを高めることが最も重要であると思います。

 

プログラミングを学習して得られることは、細かい技術的なスキル云々よりも、論理的な思考を身に付けることが一番大きいです。ロジカルに考えなければプログラムは動いてくれません。プログラミングを通して試行錯誤しながら論理思考を学ぶのは良い事ですが、本当に優先順位の高い重要事項かと言われると、そうではないのかもしれません。

 

ITリテラシーという言葉がありますが、この言葉の持つ意味である、「ITを使いこなす力」こそがプログラミング学習よりも前にあって最も優先順位の高い重要事項であるはずです。

 

プログラミングを最初に学んだとしても、モラルとは別の話です。ITを創るにせよ使いこなすにせよ、モラルが必要ですし、これを学ぶ機会がなければ意味がありません。そして、ITを使う側にこそモラルが重要となってきます。

 

例えば、自動車の運転には免許が必要ですが、料理で包丁を使って食材を切るのには免許はいりません。では、SNSなどの身近なITはどうでしょうか?ライセンスが必要では大袈裟ですから、包丁を使って指など怪我せずに食材が切れるように誰かが教えてやればいいのです。包丁の扱いは誤って指などを怪我する恐れがありますが、ITの情報漏えいやプライバシーの流出は周囲を巻き込む一大事です。少々失敗を重ねながら今後気を付ける、では遅すぎます。デジタルでの流出は痕跡を消し去ることが困難です。

 

ITを使うということが、自動車の運転や包丁の使い方といった危険性を持った行為と同等であり、真剣に考えるべき時代となったのです。

 

ITの情報漏えいやプライバシーの流出は、すべてがモラル不足が原因ではありませんが、重要な要因のひとつであることは間違いありません。ITというツールがどのような仕組みでどんな危険性があるのかを知らなければ、事故を減らすことができません。プログラミングを学ぶこととプログラムがどんな仕組みで動くかを学ぶことは大きな違いがあります。

 

ここまで述べた事は子供の教育だけに言えることではありません。

 

子供達にITリテラシーを教えるということは、教える大人がITリテラシーを持っていることが大前提なのです。私たち大人世代はどうでしょうか?ITを何となく難しいという理由だけで避けてはいないでしょうか?自信を持ってITリテラシーがあると言える大人がどれだけいるのでしょうか?

 

今まさに緊急の課題は私たち大人のITリテラシーを高めることです。
ITベンダー企業であっても企業のIT部門であっても、ITに関わる仕事をしている限り、周囲のITリテラシーを高めることを活動目的に含めるべきです。

 

どんな些細なことでも構いません。
ITベンダー企業が小難しい専門用語でシステムを説明するのではなく、わかりやすい言葉に置き換えて説明するだけでも十分です。
IT部門が自社の情報セキュリティを向上させるのに、なぜルールを守る必要があるのかを何度も丁寧に社員に説明するだけでも十分です。
どんな些細なきっかけであっても、一人でも多くの人が、ITの利便性、危険性、そして、素晴らしい可能性に興味持つことがITリテラシーの向上へつながります。

 

企業で発生する情報漏えい事故の根底にあるのはITリテラシーです。厳格なルールでガチガチに縛れば流出事故が無くなるわけではありません。
企業にとっても社員のITリテラシーの向上が多くの課題を解決するはずです。