Sphere System Consulting ltd. スフィアシステムコンサルティング株式会社

Vol.92 ITプロジェクトは徹底的にハードルを下げるべき

 コラム

ITプロジェクトは徹底的にハードルを下げるべき

 

ITプロジェクトを成功させるコツは「とことんハードルを下げる」ことに尽きます。難しい事にもチャレンジが必要なのでは?と考えるかもしれませんが、心配は不要です。

プロジェクトは生き物です。どんなにハードルを下げようと努力しても、次々と不測の事態が起こり、放っておけばどんどんプロジェクトの難易度は上がっていきます。想定通りに「ハードルを下げきった」プロジェクトなど皆無に等しいわけです。

 

古き慣習で言えば、「難しい事へのチャレンジは美徳」でした。
人は難しい事へのチャレンジによって成長できるのは事実ですし、現役の優秀なプロジェクトマネージャーは困難なプロジェクトを乗り越えたからこそ今があるわけです。だからと言って、人の成長を理由に難しいITプロジェクトにチャレンジするのは間違いです。人の成長とプロジェクトの成功のどちらが優先かを考えれば、当然プロジェクトの成功が優先だからです。

 

ITプロジェクトの成功を目指した結果として経験を積んで人が成長することが後から付いてきます。この事は良く考えれば当たり前なのですが、間違った認識を持たれるケースが多々あります。

 

ITプロジェクトを推進するに当たり、人の成長とプロジェクトの成功は本来切り離して考えるべきものです。人の成長を理由に間違ったチャレンジはすべきではありません。

 

このような間違ったチャレンジは人材育成にも悪影響を及ぼします。

プロジェクトマネージャーの育成は難しいと言われていますが、育成を放棄している場合もあるわけです。上司が人材育成を考えずに「難しいプロジェクト」に部下を育ててもらうような環境であれば、計画的な人材育成ではなく、単なる「ばくち」でしかありません。育成をプロジェクト任せにする上司ほど、実際は部下を見ていなかったりするものです。

 

これからのITプロジェクトは、より「不確定要素」が強いプロジェクトばかりになります。
まったく新しい事に挑戦し、前例のない事に挑まねばなりません。これまでの経験があまり役に立たないのだから、これまでの慣習のままではいけないのです。

 

そこで必要なのは、ITプロジェクトのハードルを徹底的に下げる努力です。

 

逆説的ではありますが、ITプロジェクトをシンプルにするためにハードルを下げる行為が難しいチャレンジだったりします。

 

昨今のITプロジェクトはプロジェクト単体で考えるべきではありません。他の社内プロジェクトとの関連性や経営理念との関連性、その他諸々の周囲との関係性の上に成り立ちます。推進するITプロジェクトのハードルを下げようとしたら、周囲にあるこれら関連性を持った別プロジェクトとの協調が必要です。より大きな視点が必要なので、場合によっては難しいチャレンジになるでしょう。

 

わざわざ難しいITプロジェクトをさらに難しくするのではなく、ITプロジェクトを簡単にするほうが、人材は遥かに成長できます。

 

忘れてはならないのは、最優先はプロジェクトの成功であり、人の成長は後から付いてくるものです。人材の成長をプロジェクトに委ねるような指導は、人材育成を放棄したのに等しいのです。

 

ITプロジェクトはとことんハードルを下げること。
プロジェクトマネージャーも、プロジェクトを支援する経営者も、意思統一が必要です。