Sphere System Consulting ltd. スフィアシステムコンサルティング株式会社

Vol.91 「システム考古学」の実践で得るものとは?

 コラム

「システム考古学」の実践で得るものとは?

 

前回のコラムではシステム開発は考古学に似ているという観点の下、「システム考古学」という概念を提唱しました。今回は具体的に「システム考古学」の考え方を使い、どのように活かすのかについてお話します。

 

前回も触れましたが、システムの変更によって業務プロセスを見直すため、業務プロセスに対し、しっかり向き合う必要があります。「なぜこのようなルールなのか?」は最低限押さえておかなければなりません。

 

さらに、現状のシステムと業務プロセスに対し、
「構築時のシステム担当者は誰か?」
「一番仕様を理解しているのは誰か?」
「構築時や改修時のドキュメント類は残っているか?」
といった深い情報を掘り下げていきます。

 

ここで重要なのは、結果を受け止めてどう活かすか?です。

 

例えば、
「この業務プロセスは、古くからの慣習でなぜこのようなルールかが不明。
 構築時のシステム担当者は退職してしまった。
 一番仕様を理解しているのは現担当者1名だけだが、

 前任から引き継いだ情報以上のことはわからない。
 構築時のドキュメント類がなく、何回くらい改修したかも不明。」
という状況だとしたら、かなり危険な状態だと判断できます。

 

このような危険な状況が確認できた場合、システム導入プロジェクトは慎重に計画を練る必要が出てきます。

具体的にはプロジェクトのゴールを細分化し、段階的に機能を実装するなど、一度に多くのことをやりすぎないようにグランドデザインを描くことが効果的です。

 

システム考古学の観点から調査し結果を受け止めるということは、過去を調べればプロジェクトの遂行能力がわかるため、今後の計画に反映させることができます。

 

もし、前回もシステム導入に失敗しているのであれば、次も失敗する確率は高いのです。(あくまでも可能性の話です。)潔く認めてしまい対策を練る方が前向きだと言えます。

 

組織におけるプロジェクトの遂行能力は、そのままプロジェクトの成功確率に影響します。

例えば、スキー初心者がいきなり上級者向けコースに挑むのが無謀なように、プロジェクトもまた遂行能力の合わないレベルでは成功は望めません。

 

現状を知る事が重要だとは誰もが考えますが、システム考古学を駆使して現状をITプロジェクトの方針に落とし込む事までやっているケースは皆無に等しいです。
なぜなら、システムの発注先であるITベンダー企業が主導で現状の分析を行い、ITベンダー企業の出来る範囲内ですべてが完結するからです。
最初にITベンダー企業との契約が発生してしまえば、開発手法や検収などすべての型が決定してしまいます。型がすべて決まっているので根本から練るようなことはありえません。

つまり、契約が既に結ばれていることによってプロジェクトの方針変更はできないのです。

 

最初に入口を間違えば正しい出口にたどり着くのは難しいものです。システム考古学の実践は自社のプロジェクト遂行能力を推し量ることができます。自社のプロジェクト遂行能力を知れば、必ずプロジェクト成功への道筋が見えます。

 

ぜひITベンダー企業へのシステム発注前にシステム考古学を用いて現状を洗い出してみてください。得られる結果に十分な意味があるはずです。