Sphere System Consulting ltd. スフィアシステムコンサルティング株式会社

Vol.88 ITプロジェクトのマジックワードに惑わされるな!

 コラム

ITプロジェクトのマジックワードに惑わされるな!

 

思考を一瞬で停止させてしまう「マジックワード」というものがあります。
マジックワードとは、何となくもっともらしい言葉だが、差し障りがなく具体性がなくて言い包められてしまう言葉です。

 

例えば、ある問題の原因が「コミュニケーション能力」や「一体感」の不足であると結論付けられた場合、何となく分るような気はするのですが、原因に具体性がないので今ひとつ納得感はありません。

 

何となくわかるような気がするが具体性や根拠に乏しい言葉はすべてマジックワードと言えます。これらのマジックワードを聞くと、わかったような気になり、それ以降は考えることを止めて思考停止に陥る危険性があります。

 

残念ながら、IT業界ではこの「マジックワード」の連発が日常的に行われています。
IT業界は、業界特有の技術的なスピードの速さに起因する新しいキーワードがすぐに生まれるので、新しい用語や知らない言葉でうやむやにしやすい背景があります。中身のない言葉がさも当たり前のように使われる土台が整ってしまっているのです。

 

マジックワードの連発は、なんとなくわかったような気になるだけなので中身がありません。従って、問題の解決策が具体的に指示できずに対応が後手にまわったり、プロジェクトの成功要因は何なのか、失敗要因は何なのか、後から振り返ることも困難になります。

 

ITプロジェクトでは「マジックワード」で思考停止にならないことに気を配る必要があります。

 

ITベンダー企業に所属する技術者同士の会話でさえ、所属する企業が違えば使う言葉が変わります。所属する組織の違う者同士が意思疎通させるのが目的であるのに、ローカルの専門用語を使い、知ったかぶりで理解した気になるような雑なコミュニケーションが行われたりもします。

 

発注側企業とITベンダー企業の間なら、なおさら言葉の隔たりは大きくなります。
発注側企業がやるべきことは、分らないことは分らない、抽象的な表現はもっと具体的に、きちんとIT企業側に説明を求めることなのです。

 

残念ながら、カタカナ用語や横文字ばかりを好き好んで話す技術者も多いのです。打合せの場の双方が同じ認識を持つ言葉を使えば何の問題もありませんが、知識自慢のような難解な言葉を使うのならば、全員が共通認識を持てる言葉で話してもらうよう促す必要があります。決して曖昧なまま分ったような気分になる状態で終わってはいけません。

 

そして、発注側の社内における打合せでも同様の事が言えます。要件定義をする、仕様を決めるといった打合せの中で抽象的な「マジックワード」を野放しにしてはいけません。

曖昧な仕様は必ず後でトラブルを生みます。仕様の検討段階では、徹底的に不透明な部分を明確にすることにエネルギーを使いましょう。

 

「マジックワード」のすべてがいけないのではありません。
まとめの言葉として抽象的なマジックワードを用いるならば、文脈の前後に必ず具体的な話や根拠となる説明がセットで存在しなければいけません。

 

「マジックワード」のみで煙に巻くような会話のやり取りを無くすこと。それだけでIT導入プロジェクトのトラブルは十分に減らせます。

 

思考停止になってはいけません。ITの世界は、何となくわかったような気になりやすい環境なので特に注意が必要です。