Sphere System Consulting ltd. スフィアシステムコンサルティング株式会社

Vol.82 「察する力」がマネージメントを形成する

 コラム

「察する力」がマネージメントを形成する

 

これまで何度もシステム発注側企業のプロジェクトマネジメントの重要性について述べましたが、肝心なマネジメントができる人材をどうやって育てたらいいのかについて踏み込んで考えます。

 

プロジェクトマネージャーの資質については以前のコラムにも書きました。(Vol.46 プロジェクトマネージャの資質とは?)ITベンダー企業側のプロジェクトマネージャーと発注側企業のプロジェクトマネージャーのどちらにも共通して言えるのは、「全体を俯瞰する力」が必要だと言えます。そして、そのような人材の登場を漠然と待っているだけではダメなのです。

 

以前のコラム(Vol.80 発注側こそプロジェクトマネジメントを学べ)にも書きましたが、
ITに詳しいITベンダー側の人材が全員プロジェクトマネージャーになるわけではありません。ITプロジェクトのプロジェクトマネージャーに必要なのはITスキルだけではないのです。

 

特に発注側におけるITプロジェクトのプロジェクトマネージャーには、「全体を俯瞰する力」、言い換えれば「プロデューサー視点」が必要であり、これを身に付けるためには、「察する力」が欠かせません。

 

「察する力」とは単純で、今目の前にいる人物が何を考え、何を望んでいるのか推しはかることです。

 

上手くいかないチームや組織で必ずと言っていいほど起きているのは、コミュニケーションロスです。そのコミュニケーションロスの原因は、「察する力」が足りないからです。

 

上手くいくチームや組織は、相手と向き合い、相手に何が起きて何が問題となってるのかがわかるからマネージメントが可能なのです。

 

例えば、作業をメンバーに割り当てて放置するだけのリーダーには「察する力」が無いので、チームメンバーに何が起きているのか把握できず正しい対応ができません。その結果、責任の擦り付け合いのような事が起きて、チーム状況はさらに殺伐とした負のスパイラルになります。

 

発注側のプロジェクトマネージャーに「察する力」がないと、プロジェクトの報告を経営者に報告するために資料作りだけに集中し、プロジェクトメンバーと向き合うことをせず、ひたすら進捗チェックだけをするようになります。プロジェクトメンバーの方を視ずに上司である経営者だけを見ているリーダーに求心力もなく、殺伐とした雰囲気は居心地の悪いチームを作り出します。

 

「察する力」にはITのスキルは全く関係ありません。
リーダーだけにあればよいものでもなく、メンバー誰にでも必要な事です。

 

そして、「察する力」は簡単に訓練することができます。
身近な例では、家族や恋人が、今何を考え、何を望んでいるのかを考えてみるだけで十分な訓練になります。たとえ、自分の考えた事が相手の意図と違っていても、相手の事を考えるプロセスが尊いのであり、正解か不正解かは問題ではありません。

 

発注側のプロジェクトマネージャーのスキルに土台として必要なのは「察する力」です。

 

発注側のプロジェクトマネージャーには、社内で役職を持った方が就任しますが、社内の昇格ルールはそれぞれであったとしても、「察する力」を持った人材をマネージャーに据えることはまだまだ難しいのではないでしょうか。

 

発注側企業の本業において優れた成績をのこせば自然と昇格の道は開けるでしょう。しかし、個人競技の勝利の方程式は団体競技には適用できないように、必ず上手くいくものではありません。マネージメントに必要なスキルは漠然として言語化が難しいため、必要なスキルを定義し身に付けるプロセスが足りていません。

 

「察する力」が足りないということは「相手をちゃんと視ていない」ということです。IT化が進む今だからこそ、もっと人を視なければ物事は上手く進まないのです。