Sphere System Consulting ltd. スフィアシステムコンサルティング株式会社

Vol.80 発注側こそプロジェクトマネジメントを学べ

 コラム

発注側こそプロジェクトマネジメントを学べ

 

前回は発注側から見たプロジェクトマネジメントについてお伝えしました。プロジェクトマネジメント論は、常にITベンダー側だけで論じられてきたため、発注側のプロジェクトマネジメントは曖昧かつ分りにくいものとなっています。

 

一般的な日本の雇用形態を考えると、発注側にITに詳しい人材が少ないのは当然とも言えます。そもそも、ITベンダーにシステム開発を発注する流れは、システムを自社で内製するアメリカ企業とは違って日本の企業は内製をしないからITベンダーにシステムを発注するという経緯があります。自社でシステムを内製しないということはプログラムできる人材もいない場合がほとんどです。

 

このような発注側の事情を考えると、発注側企業にはITベンダー側で言われるプロジェクトマネージャー育成手法は意味をなしません。「プログラムを書いたことのない人は優れたプロジェクトマネージャーになれない」という前提のもと、システムエンジニアやプログラマーが現場での実務経験を経てプロジェクトマネージャーへとステップアップする方法が採れないからです。

 

しかし、発注側企業にプログラムが出来る人材がいればすべて解決するのかといえばそうではありません。IT企業のエンジニアはプログラムが書けるからといって、全員がプロジェクトマネージャーになるわけではありません。そこには個人の適性があります。むしろ、プロジェクトマネージャーの資質を備えた人材の確保が難しく、優れたマネージャーは常に人材不足なのがITベンダーの現状です。

 

発注側でも受注側ITベンダーでも、プロジェクトマネージャーの育成にはプログラムを書けるスキルとは別のスキルが必要であることは明らかです。

 

プロジェクトマネージャーの育成は「山登り」に例えると分りやすいと思います。山頂へ上るルートは1つではありません。プロジェクトマネージャーになるという山頂へ至るルートは、「プログラムが書ける」ことを条件とした王道ルートも1つですし、発注側企業から山頂を目指すルートも当然あるわけです。

 

ただし、現状では発注側企業からプロジェクトマネージャーを目指すルートの方が険しい道のりであると言えます。

 

プロジェクトマネジメントはITの世界に限った物ではありません。例えば、大きな規模で言えばロケットを宇宙に打ち上げるのもプロジェクトですし、ごく小さな規模で言えば飲み会を主催するだけでも立派なプロジェクトです。

 

プロジェクトマネジメントはITだけのものではないのに、発注側企業ではプロジェクトマネジメントを体系立てて学ぶ機会がほとんどありません。

 

プロジェクトマネジメントが身近なITベンダー企業でさえ、プロジェクトマネジメントをITだけの狭義の意味で解釈し、発注側企業との本当の意味での協業ができていません。

 

発注側のプロジェクトマネージャー育成のためには、発注側企業でのプロジェクトマネジメントの理解が先に必要です。

 

プロジェクトマネジメントの手法はITベンダー企業の専門分野ではなく一般的なモノであることを知り、海外からの輸入の概念であるプロジェクトマネジメントをそのまま使うのではなく自分たち向けに理解を深めましょう。

 

発注側企業のIT部門の新しい役割は、プロジェクトマネジメントを学びITプロジェクトを任せられる人材を育成することです。ITプロジェクト以外にもそのスキルを応用することで発注側企業が成長できれば良いのです。

 

発注側がプロジェクトマネジメントを理解しプロジェクトマネージャーを育成することで大きなメリットがあります。社内のIT部門はITプロジェクトを通じてその先鋒となるべき存在です。