Sphere System Consulting ltd. スフィアシステムコンサルティング株式会社

Vol.77 サービス劇場型アプローチで考えるITプロジェクト

 コラム

サービス劇場型アプローチで考えるITプロジェクト

 

システム導入においては、相手に丸投げすることと苦手なことを相手にお願いするのは明確に違います。ITに関して自分たちが苦手な部分をITベンダー企業に任せるのは問題ありません。問題はその任せ方であり、自分たちで決めなければいけないことまで含めて相手に丸投げすることが駄目ということです。

 

システムの発注側からすると、「ITベンダー企業から適切な提案があってしかるべきだ。こちらはITの素人なのだから。」という意見もあるでしょう。

これまでの常識では上記のような意見が正しいとされてきました。ところが、今や状況は変わっています。技術の進歩によって一括りだったIT導入が「攻めのIT」と「守りのIT」に分類分けできるようになり、古い慣習ではついていけないスピードで動き続けています。

 

ITは全てが専門知識が必要な高度なスキルではありません。今ではITの普及と利用はごく一般的になりました。ITサービスを受ける側も予備知識がある状態なのです。つまり、ITリテラシーの向上によって一方的に専門家から教えを乞うというスタイルではなくなったということです。

 

大事なのは「共創する」ということです。
専門知識とは一体何なのか?ITベンダーが持つ専門知識と何か、自社が持つ専門知識とは何か、しっかりと考えれば答えは見えてきます。

ITベンダーからの提案を受け身で聞くというこれまでの常識を疑う必要があります。

 

サービスの考え方のひとつに「サービス劇場型アプローチ」というものがあります。
これは、サービスを提供する側を「演者」、サービスを受ける側を「観客」とみなしサービスを構造化した考え方です。

 

これをITに当てはめると、「演者」がITベンダー企業、「観客」がシステム発注側企業ということになります。演者が観客を魅了し、観客が拍手等で応えれば、公演は大成功となるでしょう。逆に、観客がノーリアクションだったり居眠りしているような講演であれば失敗です。

サービス劇場型アプローチの考え方においても「演者」と「観客」の共創が場の空気を創ると言えます。演者がサービスを提供し、観客が応えるということであり、観客であるシステム発注側企業が何もしない(丸投げ状態)では駄目だということです。

 

サービス劇場型アプローチを違う角度から考えると、第三者の存在が重要だと気付きます。公演を成功させるためには劇場の提供であったり素晴らしい演出であったり、演者と違う立場から場の空気を創ることが欠かせません。ということは、公演には演出家や興行主といったプロデューサー的な立場の登場人物が必要になります。

 

プロデューサー的な観点の重要性は前回のコラムでも述べた通りです。
プロデューサーの役割を誰がすべきか?を考えると独立した第三者が適任ですが、これまでの古い常識では「演者」側であるITベンダー企業がプロデュースを兼任する「セルフプロデュース」のような考え方がまかり通っています。

 

ITにおけるセルフプロデュースはとても難易度が高いものです。演者の視点では1回の公演を成功させることに着目しますが、プロデューサーの視点はもっと長期的かつ全体的な視点が必要です。実際のITプロジェクトでは、プロジェクトの完了を目的としたITベンダーと、プロジェクト完了後の運用が一番大事なユーザー企業では「プロジェクトの成功」という共通言語ですら言葉の裏にある真意が違うのです。
ITベンダー企業側によるセルフプロデュースは、立場の違いからくる思惑の違いを乗り越えられなければ成功しません。

 

これからITを導入する企業や導入済みのITを刷新する企業は、ぜひIT導入プロジェクトを「サービス劇場型アプローチ」で見てください。必要なモノが自ずと見えてきます。