Sphere System Consulting ltd. スフィアシステムコンサルティング株式会社

Vol.68 パッケージソフトに合わせる必要性

 コラム

パッケージソフトに合わせる必要性

 

社内システムの導入時にパッケージソフトを使うのはかなり一般的になりました。自社向け専用ソフトを開発するよりも既製品であるパッケージを使えばコストも抑えられます。最近は業種に特化したものも増えたので、選択肢の幅が増えすぎて自社に合うものを選ぶのが大変ですらあります。

 

パッケージソフト導入にあたり、絶対に忘れてはいけないことがあります。

それは「カスタマイズはなるべくしない」ということです。

 

最初からカスタマイズ対応していないソフトウェアもありますが、ITベンダー企業が販売する業務向けのパッケージソフトは多くの場合カスタマイズがセットになっています。パッケージをベースに貴社向けにカスタマイズしますというのがITベンダー企業の売りでもあります。

 

確かに、パッケージソフトを自社向けにカスタマイズして使いやすくすることは便利なことですが、考え方によってはは大きな間違いです。

 

パッケージソフトの導入メリットを最大限に発揮するのは、ノンカスタマイズでの導入です。理由は2つあります。

 

ひとつは、カスタマイズをすると止められなくなる中毒性があるからです。
ソフトウェアにも寿命があるので、いずれシステムを入れ替える時期が来ますが、その時に同じカスタマイズをする可能性が高いのです。ということは、カスタマイズはずっとやり続けるということになります。

 

例えば、トイレ・風呂がセパレートのワンルームマンションから、風呂トイレ共用の家賃の安いアパートに引っ越すのが難しいように、よっぽどの理由がなければ水準を落とすのは難しいものです。

 

カスタマイズする内容は、簡単に言ってしまえば、メリットがあるものと、ないものの2種類があります。ここで言うメリットは、単にコストメリットだけを指すものではありません。パッケージの構造にどの程度影響を与えるかも含めた包括的なメリットを指します。

 

構造に影響を与えるカスタマイズを家造りで例えるなら、「耐震構造に影響がある増改築はすべきでない」といった意味です。

 

当然、包括的に見てメリットのないカスタマイズはやるべきではないのですが、ソフトウェアという目に見えないモノを扱うのでその線引きは難しいのです。その結果、便利だからという理由だけでカスタマイズを続ければ包括的メリットのないカスタマイズにまで手を出してしまう事になるのです。
やってはいけないカスタマイズに手を出す中毒になるべきではありません。

 

 

もうひとつの理由は、ITベンダー企業のビジネスモデルの限界です。
ITベンダー企業は、カスタマイズで収益を得るビジネスモデルを実践していますが、これまでと同じやり方には限界があります。特に、IT人材の不足、育成の課題は常に付きまとっているのに、個別カスタマイズにリソースを割くやり方では立ち行かなくなるのです。

このビジネスモデルが表面的に上手くいっているように見えるのは、現場のITエンジニアが長時間労働をしているからであり、既にしわ寄せは現場に出ています。ITエンジニアは個別カスタマイズではなくもっと付加価値の大きい仕事にまわるべきであり、IT業界全体の課題でもあります。

 

これは、ITベンダーの事情だから、システムの発注側は関係ないというのではなく、受けるサービスの質にかかわる重要な問題です。自社でシステムを創るのではなく、システムを発注するのであれば、パートナーとの関係性が重要であり、決して対岸の火事ではありません。

 

これら2つの理由から言えるのは、パッケージ導入はノンカスタマイズで考え、どうしてもやらなければならないカスタマイズは必要悪だということです。

 

パッケージソフトは、良く使われる機能や汎用的な機能をパッケージングしてまとめたものです。パッケージソフトの導入メリットは何と言っても導入コストが安い事ですが、導入の注意事項は誰も教えてくれません。

 

本来、パッケージソフトはそのままの形で運用すべきものです。しかし、ITベンダー企業が利益を得るためには「できればカスタマイズなしで使ってください」とは言えません。

 

安易にカスタマイズに頼るのではなくパッケージソフトの運用に合わせる必要性を認識しておきましょう。