Sphere System Consulting ltd. スフィアシステムコンサルティング株式会社

Vol.67 ITプロジェクトにおける数値化と肌感覚

 コラム

ITプロジェクトにおける数値化と肌感覚

 

あいまいさを明確にするためには判断指標が必要です。つまり、何をもって目的達成とするかの判断基準を決めるということです。この「ゴールを決める」手法には「定量的アプローチ」が用いられます。

 

定量的アプローチとは、簡単に言えば「数値で表される指標を作りましょう」なので、目標数字を決めてそれに対して実績はどうなのか?という検証をすることになります。

 

ITプロジェクトでも、定量的アプローチは多く存在します。例えば、「要望管理シート」などで追加要望の数をカウントし対応の可否を判定したり、テスト工程に入ってからバグの発生率と収束率をカウントしたり、数値を使って管理する場面は本当に多いです。

 

数値で表すことのメリットは分りやすさです。なので、上司への報告など第三者に向けて説明する場合に分りやすく伝える事が出来ます。プロジェクトマネージャーが上長である経営者に向けてプロジェクトの状況を説明する場合も同様です。

 

数値化すること(定量的であること)は周りを納得させるには抜群の効果を発揮します。

 

しかし、数値化だけでは上手くいきません。数値化され定量的で具体的な説明は説得力がありますが、これがすべての判断基準だと思い込むのは危険です。

定量的アプローチの反対に、数値化しない定性的アプローチがあり、両方を組み合わせることが重要です。

 

例えば、数値化されたデータは元をたどれば誰かの判断というアナログデータの可能性もあります。数値化の対象はシステムからアウトプットされるデジタルデータだけでなく、個人の申告だったりする場合もあります。そうなると数字に絶対的な根拠はなくなります。

 

また、ITプロジェクトにおける進捗率などは、全体数と完了数だけで判断すれば個別の難易度は反映できません。進捗率90%なのに最後に難しい内容を残していれば残り10%の完了にこれまで以上の時間が掛かります。このように、数値化の落とし穴はいくらでも存在するわけです。

 

数値化だけに固執すれば「手段の目的化」になりやすいのです。
業務上の数値報告が必要だからといって数値が全ての判断基準とはなりません。数値というデジタル的かつ具体的な要素だけでなく、感覚というアナログ的で抽象的な要素がちょうど良いバランスで機能することが望まれます。

 

IT業界に限らず、KKD(勘・経験・度胸)だけではダメですが、数値化された定量データだけでもダメなのです。むしろ、チームの雰囲気や空気、人との会話から受ける印象などの肌感覚も大事になります。

 

この方法・手法が絶対だと思った瞬間に落とし穴があります。方法論を過信しないことと、見えない空気やちょっとした感覚を大事にすることが今後のプロジェクト運営に必要です。