Sphere System Consulting ltd. スフィアシステムコンサルティング株式会社

Vol.66 ITプロジェクトにおける「部分と全体」

 コラム

ITプロジェクトにおける「部分と全体」

 

「全体は部分の単なる総和ではない」という言葉があります。
他にも、部分最適と全体最適に関する名言は沢山あります。全体と部分、ITプロジェクトも同様にこれらと密接な関係があります。

 

プロジェクト全体の作業を考えると、全体の工程が分業化され、その工程に担当者を配置したとき、「部分」が生まれます。

 

多くのITプロジェクトで起きているのは、部分しか見ておらず、その結果、全体に不整合を作り出すという現実です。さらに、全体として整合性が合わない現実を、「もっともらしい後付けの理由」で納得させようとします。

 

部分で見れば全力で対応できている。しかし、部分を積み上げた結果である全体を見ると、おかしなものが出来上がっている。部分を担当するメンバーの努力は評価すべきものだから、責任の所在のない全体システムとなる。もっともらしい後付けの理由は「仕様だから」という理由で済まされてしまう。こんなことが実際に起きています。

 

システムを導入しようとする時、発注側が忘れてはいけないのは、受注側であるITベンダーは全体工程のうちの途中参加であることです。つまり、全体から見て部分しか担当していないということです。(参照:Vol.53 関係者も口にしないITプロジェクトの全工程とは?

 

システムの発注側は、より高い視点から全体を見渡す必要があります。ところが、受注側のITベンダー企業に安易に丸投げしてしまうために上手くいきません。

 

システム開発を取り巻く環境も変わりつつあります。企業の基幹システムのような「ウォーターフォール」開発からWEBシステムのような「アジャイル」開発まであるわけです。

 

新しいトレンドである「アジャイル」によって高速開発が可能になりますが、一番気を付けなければいけないのは全体の整合性です。

 

例えるなら「ウォーターフォール」は長編映画、「アジャイル」は一話完結のドラマです。

「アジャイル」は物語の完結が早い代わりに、第三話でいなくなった登場人物が、突然第五話に現れるようなおかしなストーリーになってはいけないのです。

 

このように、開発手法のトレンドが変わっても大事なのは全体最適です。元々部分しか関わりのないITベンダー企業に過度な期待をするのではなく、発注側が主導権を握るしかありません。

 

部分の積み上げによって全体の整合性を失い、責任の所在もなくもっともらしい言い訳をするのはもう終わりにしましょう。