Sphere System Consulting ltd. スフィアシステムコンサルティング株式会社

Vol.62 ITプロジェクトにおける大局観

 コラム

ITプロジェクトにおける大局観

 

ITを取り巻く環境では、大局観の欠如による失敗事例が後を絶ちません。

大局観という言葉を考えるとき、全体の範囲はどこまでなのか?を定義することはとても重要です。

 

自分という個人、自分と相手、チーム全体、部門全体、会社全体・・・などのように最小単位である「自分という個人」から出発し、大勢が関わる組織へ視点を移すことでそれぞれの全体の範囲が変わります。

 

例えば、チーム全体の視点を得たとしても、個人の視点を忘れて良いというわけではありません。目線の位置が上がるということは、以下すべてに目が行くことであり、視野が広がるということを意味しています。

 

目線の位置は「視座」という言葉で表されます。
どの位置で物事を視るかによって物事を多面的に捉えることができます。視座・視野・視点というこの3つは大局観を考える上で欠かせないものになります。

 

大局観の欠如による失敗ITプロジェクトを紐解くと、その多くはプロジェクトの全体を視ることができないだけでなく、全体の範囲を間違えている失敗事例が多い事に気付きます。

 

典型的な失敗事例で言うと、システムの発注側企業は自社の事しか考えていない場合がこれに該当します。プロジェクトというITベンダー企業との共同作業にもかかわらず、パートナーであるITベンダーへのアシストを拒否する場合などです。気付かずにやっているケースや無知が引き起こすケースも多いのですが、端から見てどう考えても協業する気のない不毛なやり取りが見受けられます。

 

ITベンダー企業もまた、プログラム開発をパートナー会社へ外注するとき、自社の事しか考えていません。パートナーとして他社のエンジニアと共同作業をするのにもかかわらず、プロジェクト内で自社のエンジニアと違う扱いをして共通のゴールへ向かう妨害をします。

協力会社とは名ばかりで、1か月の契約労働時間の上限いっぱいまで技術者を使い倒そうという「契約書に明記のない圧力」をかけるようなITベンダーも存在します。そんなITベンダーが自社の顧客満足向上について語ったところで、取引先企業に満足を与えられないのに顧客にだけ満足を与えられるはずもないのです。

 

どちらの場合も、全体の範囲が狭いと言えます。自社だけでなく他社も巻き込んで結果を出すことが求められるのに、自社は自社、他社は他社と分けて考えてしまうので上手くいきません。結果を出すことが最重要のはずなのに、狭い視野の中で体裁だけにこだわっているとも言えます。発注者と受注者の関係にあったとしてもお金を払う方が立場が上ではありません。

 

ITプロジェクトでは発注者も受注者も自分たちだけが良ければいいという考えが根底にあると上手くいきません。発注側は考えを改めるべきだし、共に戦えるパートナーへシステムを発注しなければいけません。

 

ITプロジェクトにおける大局観は「全体がどこまでか?」を考える必要があります。

ITプロジェクトの全体とはプロジェクト成功に関わる全てを指します。当然、発注先企業、パートナー企業、取引先、すべてが含まれます。自社か他社かという区分けは意味がありません。

 

IT業界は人月単価で商売が成り立つためか、協力会社への配慮がないがしろにされがちです。この事が業界全体の閉塞感の原因とも言えます。
ITプロジェクトの成功の為には全体の範囲を見誤らないこと。これに尽きます。