Sphere System Consulting ltd. スフィアシステムコンサルティング株式会社

Vol.61 システム開発契約の抑えるべきポイントとは?

 コラム

システム開発契約の抑えるべきポイントとは?

 

システム開発の契約について、発注側企業はどこまで理解しておけば良いのでしょうか。

システムの発注側からすれば他の外注業務の契約とシステム開発の契約の違いは分りにくいかと思います。ITやシステムそのものが難しい概念なのですんなり頭に入ってこないこともあるでしょう。しかし、システム開発における契約は以下のようにシンプルに考えることができます。

 

システム開発で登場する契約は主に3種類です。

  • 請負契約
  • 準委任契約
  • 派遣契約

※準委任契約は「準」が付いても委任契約と意味は同じです。法律行為の場合は「委任」となりますが、システム開発は法律行為でないので「準委任」となります。

 

このうち、3番目の派遣契約は技術者を派遣してもらい内製する場合になるので多くの場合は該当しません。ですので、請負契約か準委任契約の2つの使い分けを抑えておけばOKということになります。

 

では、請負契約か準委任契約かということになりますが、2つの契約の違いは以下の通りです。

 

  • 請負契約

完成責任がある

瑕疵担保責任がある(簡単に言うと不具合対応の義務を負うこと)

 

  • 準委任契約

完成責任はない

瑕疵担保責任はない

善良な管理者の注意をもって委任事務を処理する義務(善管注意義務)を負う

 

請負契約は依頼の完成に対しての責任を負うのに対し、準委任契約は行為に対する責任を負います。単純に言葉で書くと、発注側は完成責任がある請負契約を結ぶ方が良いように見えますが実際はそうではありません。お互いがお互いににとって有利になるような契約を結びたい気持ちは分りますが、それだけでは話が前に進みません。

 

シンプルに考えて、発注側が主体となるべき作業を準委任契約に、受注側ITベンダー企業が主体となるべき作業を請負契約にする。このルールさえ押さえておけばいいのです。

 

具体的には、
・要件定義など仕様策定に関わる工程は準委任契約に
・プログラムの設計と開発工程は請負契約に
・プログラム開発後のシステムテストの工程は準委任契約に
上記のような切り分けになります。

 

たった一言「システム開発」と言っても工程ごとに誰が主体なのか?は変化します。工程の主体者ごとに契約を分けるのが本来の形です。

 

とはいえ、ITベンダー企業はリスクを承知ですべての工程を一括請負で契約を結ぼうとするケースも少なくありません。これはITベンダー企業にとっても旨味があるからという理由がありますが、詳細はここでは割愛します。

 

契約書のタイトルがどうであれ、請負契約なのか準委任契約なのかをはっきりさせておく必要があります。経済産業省も「情報システム モデル取引・契約書」を公開しているので、こちらに沿っていれば問題ありません。

 

当コラムでは、システムの発注側企業は丸投げではいけないし、発注者の立場を利用して相手をただの業者として見てはいけない、ということを繰り返し述べてきました。

 

しかし、丸投げしてしまう背景には契約のやり方にも原因があります。契約を交わし、サービスに対する対価を支払うのだから、契約内容は相手に丸投げしてしかるべきだし契約を交わした相手はただの業者である、という考えになります。

 

確かに契約という決め事だけで見れば解釈に間違いはありません。
契約のみに従うのであれば、関わる人の感情は無視されてしまいます。契約をよりどころにしたところで、契約の中身を詳細にまで確認して契約書の記載内容を熟知しているかといえば、ほとんどの場合ノーです。

 

大事なのはどんな契約であれ、共同作業であるということを忘れてはいけません。
請負契約を結んだから発注側が何もしなくて良いというわけではありませんので、丸投げして良い理由にはなりません。

契約は法的な拘束力を持つ決め事ですが、決め事に沿って運用する人が大事であることを知っておきましょう。