Sphere System Consulting ltd. スフィアシステムコンサルティング株式会社

Vol.51 IT業界の不都合な真実とは?

 コラム

IT業界の不都合な真実とは?

 

ITプロジェクトは、当然のことながら一体感がなければ上手くいきません。

企業別や役割別で分けて考えてしまうからこそ、ITプロジェクトを誰かに任せきりで放置してしまうことになります。そうなると、結果は失敗にしかなりません。特に発注側企業が外部の受注側ITベンダー企業に丸投げにしてしまうことは絶対にやってはいけないことです。

 

ITプロジェクト成功のために、リーダーは意識を高く持つ必要があります。

 

これまでのITプロジェクトは受注側ITベンダー企業の中でのみ方法論を論じてきました。

言い換えれば、プロジェクトマネジメントの主体は受注側ITベンダー企業でした。しかし、これは大きな間違いです。

 

IT業界の不都合な真実とは、まさにこのプロジェクトマネジメントの在り方です。

 

間違いの理由は、発注側企業が脇役になってしまっているからです。
プロジェクトマネジメントの概念は海外からの輸入ですが、例えばアメリカはIT技術者を自社に多く雇用しているので自社内のマネジメントとして完結します。
しかし、日本企業はIT技術者を自社で雇うことは少なく、IT企業に技術者が集中します。よって、システム創りは違う会社同士の協業になります。
背景が違うのだから、海外そのままのプロジェクトマネジメント論は使いこなせないのです。プロジェクト全体の総責任者が自社内にいるのか他社にいるのかはプロジェクトの進行に大きく影響します。

 

もちろん、プロジェクトマネジメントは、受注側ITベンダー企業にも必要です。
受注側ITベンダー企業で行われる開発工程は、担当別に分業化され、下請け企業へ作業を振る事も多いのでマネジメントの観点は必須です。しかし、その上位概念として、発注側企業にもプロジェクトマネジメントが必要になるのです。そうでなければ、アメリカと同じ条件にはなりません。なにより、真の全体像を捉えたマネジメントが出来なくなります。

リーダーの意識は全体像をとらえることに向けられなければいけません。

 

現状では、システムの製造を請け負う日本のITベンダー企業は、「私たちにすべてお任せください」というスタンスで営業をしています。これはとても危険な提案です。

 

パッケージソフト(既製品のソフトウェア)の導入であれば、その製品が自社に合うかどうかの検証(フィットアンドギャップ)し、運用をパッケージソフトに合わせてしまえば、ITベンダー企業の提案に従って特に問題はありません。
しかし、パッケージソフトをベースに何らかのカスタマイズを加えたり、異なるパッケージソフト同士を連携させる場合は落とし穴があります。

 

カスタマイズ等が発生する工程は、プロジェクトマネジメントの概念に沿って仕事をする必要があります。その時のプロジェクトマネジメントの主体はどこにあるのかと言えば、ITベンダー企業が握ったままです。正しい階層にプロジェクトマネジメントが機能しなければ失敗する可能性が非常に高いのです。

 

ITベンダー企業の提案を鵜呑みにするということは、本来あるべき階層にプロジェクトマネージャーを置かずに1つ下の階層にプロジェクトマネージャーを置くことを意味します。

この「マネジメントの階層のズレ」こそが業界の歪みを生んでいます。

 

ITプロジェクトを俯瞰すると、本来やらなくていい仕事や、発生を防ごうと思えば防げる仕事が非常に多いのです。
しかし、ITベンダー企業はそのことを決して口にはしません。なぜなら、彼らのビジネスモデルを容易に変えることができず、工数による料金計算(時間が掛かった分だけ料金を請求する)による利権を手放せないからです。

 

これらの歪んだ体制はいずれ破綻します。発注側受注側を問わず、ITプロジェクトの本質を知る企業こそが生き残る時代になります。

 

IT業界に蔓延する「不都合な真実」を知れば、ITベンダー企業への発注を十分検討して行うべきだと分ります。プロジェクトをまとめる本当のリーダーは、本来は発注側企業に存在するもの。ITベンダー企業への丸投げは厳禁です。