Sphere System Consulting ltd. スフィアシステムコンサルティング株式会社

Vol.48 責任者無きITプロジェクトの怖さ

 コラム

責任者無きITプロジェクトの怖さ

 

よくITの構築は、建設に例えられることがあります。実際は相違点も多いのですが、モノ創りの観点から例えやすいのも事実です。建築をめぐるトラブルがニュースになると、失敗するITプロジェクトとの類似性を感じます。以下、類似の3点について考えてみます。

 

1.責任者不在

 

IT導入において、発注先を決めるために、ITベンダー企業を集めてコンペを行う事があります。どのITベンダーからの提案が一番良いか判断するものの、自分は専門家ではないからわからないというスタンスの経営幹部も多いものです。
特に業務改革を伴うITプロジェクトでは関連部門の責任者を集めてコンペの審査をするケースが多いのですが、関わる人数が多ければ多いほど「自分が決めたわけではない」という意識になってしまい、責任者が見えなくなってしまいます。

 

2.詳細に踏み込むと金額が大幅に増える

 

当初の想定予算金額よりも、最終的に大幅に金額が増えることも良くあるケースです。もちろん、まだ出来上がっていないものを想像するので、想定以上に金額がかかると判明することもあるでしょう。予算枠をはみ出した場合にどうするか?は、プロジェクトにおける要件の優先順位付けにつながります。何が譲れなくて何が後回しでも良いか。判断力が必要となります。

 

3.既成事実を盾に惰性で進む

 

1番目の責任者不在と密接に絡むのですが、「もう決まったことだから」という理由だけで見直しする機会を自ら放棄し、惰性で進めてしまうケースです。プロジェクトを成功に導く責任者が不在なら、間違いに気付いて軌道修正できる責任者もいません。間違いに気付いたとしてもそのままズルズル進んでしまうと、製造工程でしわ寄せが来ます。無理な納期、無理な工期での作業は品質の低下を招き、誰も喜ぶことのないシステムが完成してしまいます。

上記3点の中で最も問題視すべきは責任者不在についてです。
責任者を決めてリーダーシップの下にまとまれば、優先順位の整備して金額に折り合いを付けたり、既成事実を盾に惰性で進むこともなくなります。そして何よりも、「何のために、なぜやるか」のコンセプトを改めて共有することができます。

 

責任者なきITプロジェクトの恐ろしさは、
誰もがこのままではまずいという想いを持ちながら、誰も止めるアクションが出来ないという空気感を創りだすことにあります。

 

プロジェクトをまとめる責任者がいても、まだ混乱してしまうようであれば、経営者としてプロジェクトを支援する支援活動が必要になります。ITプロジェクトは「何のために、なぜやるか」を考えると、必ず経営戦略の実現に結びつくはずです。経営者の支援なくしては成り立ちません。

 

場の空気を入れ替えて刷新するのも経営者のITプロジェクト支援活動の大きな役割です。