Sphere System Consulting ltd. スフィアシステムコンサルティング株式会社

Vol.33 プロジェクト炎上と人員の追加

 コラム

プロジェクト炎上と人員の増加

 

プロジェクトの炎上。IT業界では聞きなれた言葉ですが、システムの発注側企業にとっては
対岸の火事のように思われてしまう言葉でもあります。システムの発注側と受注側に温度差が生まれる原因の一つに、「トラブルが起きても人員を追加投入すれば何とかなる」と思われていることが考えられます。

 

しかし、単純に追加で人員を投入してもどうにもならないのがITプロジェクトなのです。

炎上してしまうような危機迫るプロジェクトの場合、火消しのための増員は避けられません。その場合、新しく増員するメンバーへの情報伝達をじっくり立ち止まって行う余裕がなく、現在進行形で発生するトラブルの火消し作業を止めることなく並行して行うため、新メンバーへの情報伝達は中途半端になります。

 

こうなると、負の連鎖が始まってしまいます。
新メンバーの稼働が上手くいかないために非効率になってしまい、ヘルプで投入された目的を果たすまでに時間がかかったり、元からのメンバーの負荷は減ったようで減っていない状況になります。本当は負の状況をプラス要員で相殺したいはずが、負の状況が掛け算で積み重なっていくので、とにかくマンパワーをひたすら投入し続けて力技で強引に状況を落ち着かせるしかなくなるのです。

 

受注側のITベンダー企業はプロジェクト体制に慣れているので、ある程度プロジェクト運営に対する考え方は整っていますが(それでも炎上プロジェクトは存在するのですが。)、発注側企業ではプロジェクトの特性や炎上のメカニズムは浸透していません。

 

発注側企業に、もし、プロジェクト炎上の危険性が最初に見えているのであれば、そのプロジェクトの進め方そのものを見直すこともできるのです。
「そもそもそこまでリスクを取ってやる必要がない、もっと規模を小さくして始める」という選択肢もありますし、プロジェクトメンバーの増員なしで走り切れる規模に区切ることも可能になります。

 

プロジェクトの仕事の中で最も見落とされがちなこと、それは他人(メンバー)への情報伝達です。「もしプロジェクトが炎上してしまったら増員だけでは上手くいかない。その理由は情報伝達が上手くいかない状況になるから。」このことを理解しておく必要があります。

 

プロジェクトにおける情報伝達は、ビルのフロアに例えられます。
10階建てのビルを建てる計画を、途中で15階建てに変更するとします。
単純にフロアが5階分広さが増える・・・とはなりません。
なぜなら、5階分のフロアが増えるということは、収容できる人数が増えるということなので、エレベーターやトイレといった共用スペースを増やす必要があるわけです。もしも2基を予定していたエレベーターであれば3基に増やす可能性もあります。
すると、すべてのフロアの共用スペースが大きくなるので、単純に5フロア分の面積が増えるのではないということがわかります。

 

ビルをチーム、フロアをメンバー、フロアの面積をメンバーのキャパシティ、共用スペースを情報伝達の仕事と置き換えてみてください。
チームメンバーが10人から15人に増えたことで、メンバー間の情報伝達の仕事が増え、メンバー個人の仕事がこれまでと同じでなくなるのがわかります。

 

プロジェクトの炎上を、単純に人員の追加投入だけで乗り切るという考えは間違いなのです。