Sphere System Consulting ltd. スフィアシステムコンサルティング株式会社

Vol.30 なぜシステム開発の見積金額は盛られるのか?

 コラム

なぜシステム開発の見積金額は盛られるのか?

 

未来に金額が確定する話を、今、予想で見積金額をはじき出す。最初に出てくるシステム開発の見積金額はそんなものです。

見積を出す側であるITベンダー企業からすれば、未来予測をして見積金額をはじき出すので、少なく見積もりすぎれば赤字プロジェクトになってしまいます。

 

なぜシステム開発の見積金額は盛られるのか?を考えた時、赤字を出したくないという見積を出す側であるITベンダー企業の「防衛本能」抜きでは語れません。

 

このITベンダー企業の「防衛本能」という観点を詳しく見ていきます。

 

ITベンダー企業の防衛本能は2種類あります。

 

1つ目の防衛本能は「不確定要素」です。
システムを作る側が一番恐れていること。それは「不確定要素」です。

ITベンダー企業側の言葉では「仕様が固まらない」とも言います。
簡単に言えば、何が起きるかわからず怖いから、とりあえず金額を上乗せしておくのです。
システムを作る側も赤字だけは避けなければいけませんから、そのために金額の上乗せでリスクを回避しようとします。
どれだけの上乗せかは見積する人の勘と経験によります。この見積提示時点では未来予測なのです。確実な根拠など本当のところは無いに等しいのです。

 

2つめの防衛本能は「現在の途中経過」です。
これは、野球の試合を例にお話します。
現在7回の裏、これからあなたのチームの攻撃が始まります。
得点は1対2。現在1点差で負けています。負けているわけですから、何が何でも得点を取るために作戦を立てるでしょう。とにかくデッドボールでもいいから出塁し、なんとかして同点のランナーを塁に出し、あわよくば逆転まで狙うはずです。

この、「何が何でも点を取る姿勢」を引き起こしているのが「現在の途中経過」です。
つまり、見積提示の時点で、現在負けている(損をしている)と感じたら、今提示したこの見積で取り返したいと考えます。
現在の途中経過を見れば、すでに一切の値引き交渉に応じられない状況かもしれません。

 

このように、ITベンダー企業側は自らの2つの防衛本能を働かせ、見積金額を上乗せしてしまいます。これらは、私自身が見積金額をはじき出して提案した時のかつての自分自身の姿でもあるのですが、まさしく防衛本能であり無意識のうちにこのような思考をしてしまいます。

 

もし、見積金額を下げるために値下げ交渉をしたいと考えたら、他社との比較見積だけを根拠にしては、間違いなくトラブルを発生させてしまいます。
なぜなら、相見積の他社ではなく目の前の交渉相手に見積根拠の答えがあるからです。

 

発注側の立場を利用した強引な値引き交渉は、無理な工期を業者に強いることになってプロジェクトの空中分解の原因になったり、誰かがうつ病になったりして品質の低下を招くなど、最終的にはあなたの会社の不利益になる可能性があるのです。

 

最初のシステム開発の見積は、今後のシステム導入の工程へつながる大事なターニングポイントです。安易な値引きでトラブルにならないようご注意ください。