Sphere System Consulting ltd. スフィアシステムコンサルティング株式会社

Vol.7 システムの正しい発注。その効果を考える

 コラム

システムの正しい発注。その効果を考える

 

前回のコラムでは、正しい発注について発注側の立場から話しました。引き続き、正しい発注が受注側にどのような効果をもたらすかについて話をしたいと思います。

 ITベンダーが正しく受注を受けるということは、その後の仕事がやりやすくなり、IT導入の成功が見えることでもあります。

 

サッカーで例えれば、良いパスが来てあとはゴールを決めるだけ、という状態となり、バレーボールで例えれば、セッターからアタックしやすいトスが来た、ということです。

 

そして、「この部分は弊社が担当します。そちらの部分は宿題として御社にお願いします。」このようなやり取りがどんどん上手く行き、プロジェクト進行後に予期せぬ障害が発生しても、協力して乗り越えることができるでしょう。

 

かなり本音に近い話ですが、ITベンダー側のひとりの技術者としては、

「いかにトラブルに巻き込まれないか」を常々考えています。

 

組織に所属しているということは、技術者自身の評価があります。
トラブルばかりに関わると売上に貢献できていないという評価になり、出世に響きます。

 

評価だけでなく、自己管理の面においても良い事はありません。
徹夜作業の次の日に大事な仕事があったとしても、良い仕事ができません。
若さで乗り切れるのも最初のうちだけ。無理をしたシワ寄せは必ずどこかに現れます。
長く続けば、体の健康や心の健康を害することになります。

 

システム発注側にとって、ITベンダー企業のことなど知る由もないし、関係ない話だと思われるでしょう。しかし、本当にそうでしょうか。

 

担当者が徹夜作業明けで自分たちの会社へ打ち合わせに来たり、プログラムや大事なデータを触る作業があったとしたら、安心して任せることができるでしょうか。

 

「うちの仕事だけ特別にちゃんとやってくれる」というのは希望的観測です。
「プロなんだからできて当たり前」というのも少し違います。ここでいうプロは発注側と受注側の両者ですから、一方的な話では片付けられません。

 

私たちが忘れてはいけないのは、少産多死によって日本の人口が減る中で、ITで足りない力を補い、増々活用される時代になるということです。
そして、最も大事な気付きがあります。それは、システム(コンピュータ)のメンテナンスは人間にしかできないという事です。

 

今後、人とシステムの役割はしっかり定義されていくでしょう。人にしかできないことに着目し、人がシステムに振り回されない仕組みを作ることが差別化になります。
これは、システムの発注側企業、受注側企業に関係なく言える話です。

 

今こそ大局的な見方が必要です。
パートナーシップを結ぶ上で、どちらか一方が不利益を被るというのはあり得ません。

 

正しい発注はシステムの発注側企業だけでなく、受注側であるITベンダー企業も同様です。
IT業界は、多重下請構造があります。プログラムは協力会社に発注するケースが多々あります。

 

私の経験した、とある現場では、発注先である協力会社社員に対し、1か月の契約労働時間の上限範囲のギリギリまで働くように組織的な圧力をかけていました。
もちろん、契約時間範囲内であれば何の問題もありません。下限を少し超えた時間でも問題ないはずです。
しかし、契約に無いような条件を後付けしたり、協力会社側に高圧的な態度を示すことは、協力会社とは名ばかりの単なる下請け業者としか見ていないということであり、正しい発注ではありません。

 

案の定、その現場では部門として業績に苦しんでいました。
業績が苦しいから取引先に高圧的な態度を取ったのではなく、取引先に高圧的な態度を取るような部門だから業績が苦しいのです。

 

結局のところ、正しい発注をすることでしか良いサイクルは生まれません。
相手を理解してこそビジネスは上手くいく。企業間取引でも同じ事が言えるのではないでしょうか。